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BLOOM BACK BETTERの実践者

今井 頼子(いまい よりこ)

Practitioner of BLOOM BACK BETTER

Yoriko IMAI

​生まれも育ちも丹波市市島町。

高校卒業後、大阪市で働くために丹波市を出るが、〇年にUターン。

夫とUターン後に開店した喫茶店「ひなたぼっこカフェ」を経営するかたわら、地域の仲間と共に地域を元気にすべく「ぽんぽ好(ぽんぽこ)」のリーダーを務める。

Born and raised in Ichijima-cho, Tamba City.

After graduating from high school, she moved to Osaka to work, and returned to Ichijima-cho in XXX.

While she and her husband started a cafe called "Hinatabokko Cafe" after their return, she is also the leader "Ponpoko", a local group which tries to revitalize their community.

家族連れでUターン移住(都市への就職で地元を離れた人が、地元に戻ること)をし、丹波市市島町に住んでいる今井頼子さん。元保育士で元気はつらつな今井さんは、2014年8月の豪雨をきっかけに、地域を元気にする活動を始めました。災害の経験をポジティブなエネルギーに換える活動、その経緯はどのようなものでしょうか。

丹波市市島町にUターンした経緯を教えて下さい。

私は18歳の高校卒業まで市島町で育ち、卒業後は大阪市に就職しました。53歳になるまで堺市に住んでいたのですが、親が高齢になったことから、弟と相談して、私が夫を連れて丹波市に戻ることになりました。

 

もともと、人生のどこかで田舎暮らしをしたいと思っていたので、抵抗はありませんでした。その時、親から土地を一部譲り受け、大工である夫が1年2か月かけてログハウスを完成させました。

今、そのログハウスに夫と2人で住んでいます。ログハウスが完成してから1年5か月後、1階でカフェをオープンしました。生のコーヒー豆を焙煎して、お客様に提供しています。

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今井さんの夫(マスター)が建てたログハウスの前で

スタディツアー参加者と記念撮影

2014年8月豪雨災害について教えて下さい。

豪雨災害が起こったのは、カフェを開店してからおよそ3年後でした。私たちが住んでいる市島町を中心に大雨が降り、家の周りの田んぼが滝のように茶色い水であふれ、山から大きな木がゴロゴロと流れてきていました。家の浸水はありませんでしたが、水道施設が壊れたため、断水しました。

 

家は無事だったものの断水し、大変な状況にあった今井さん。そのような状況にも関わらず、周囲の住民のための炊き出し活動を始めたそうですね。そのいきさつはどのようなものでしたか?

うちはカフェだからコーヒー豆ならたくさんあります。「復旧作業に来てくれているボランティアさんの助けになれば」とコーヒーの配布を考えていました。同じタイミングで、お寺に嫁いだ友達のところにお坊さんのボランティアと、名古屋のNPOがやってきたそうです。

 

そのグループが「炊き出しをできる場所はないですか?」と聞いてきている、との話を耳にし、ちょうどうちでもコーヒーを配ろうと考えていたので、自宅の敷地を炊き出しの場所として提供することになったのです。

お寺で炊き出しをすると、そのお寺の檀家さんだけ。公民館で炊き出しをすると、その自治会の会員さんだけが、炊き出しを受けられることになるでしょう。そうではなくて、食事が必要な人は立場や所属に関係なく立ち寄れる場所にしたい、というモットーで、コーヒーの配布と炊き出しを一緒にすることが決まりました。

炊き出しはどのように行われたのですか?

水やガス、調理器具、調理する人など必要なものは全てお坊さんたちとNPOが揃えてくれました。あとは場所だけが必要という状況だったので、私たちは自宅の倉庫と駐車場を開放しました。ご飯は倉庫と駐車場で食べていただき、その後コーヒーとお菓子はログハウスの中で楽しんでもらうことにしました。お菓子もボランティアの方が持ち込んでくれました。

普通の炊き出しは立って並んで持ち帰る、というものが多いと思いますが、私たちはテントの下にテーブルやいすを置き、のんびり座っていただけるようにしました。利用する人が到着したらまず席についてもらい、席まで食事を持って行くというレストランのようなスタイルにしました。その後にコーヒーも飲めるということで、珍しい炊き出しになりましたよ。

 

その他にも色々工夫があったようですね。

支援物資の配布拠点はコミュニティセンターでした。コミュニティセンターはうちの近所からは少し遠いので、お年寄りが通うのは大変でした。そこで、私たちが近所の方々の代わりに支援物資をもらいに行って、一部をログハウスで保管し、そこで受け取れるように工夫しました。後日、被災地を訪問していた大学の教授が私たちの取組みを目にして、支援物資の配達先にうちを入れるよう、市に呼びかけて下さいました。

炊き出しについても、当初は市からのお知らせはコミュニティセンターの炊き出しについてのみでしたが、後日からは私たちの炊き出しについても防災行政無線で開催を知らせてくれました。

 

地域の人に寄り添った炊き出しと支援物資の配布が、市にも認知されていったのですね。炊き出しはどれくらいの期間続いたのですか?

週に2回、合計9回開催したので、期間としては1か月くらいです。

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炊き出しが終了してから、活動が発展していったと聞いています。

どのような活動につながったのですか?

炊き出しは豪雨災害の1か月後、9月末に終了しましたが、同じ2014年の11月に再度炊き出し仲間で集まって、「お疲れ様会」の意味を込めたイベントをしました。名前は「ウキウキうまい秋」、サブテーマは「ちょっとここらで一休み」。まさに、災害発生から走り続け、頑張ってきた自分たちに対し、「3か月ほど頑張ってきたけど、少しゆっくりしようか」といたわってあげる意味がありました。

それが、毎年秋の時期に恒例開催することになり、2018年10月21日には5回目の実施が決まっています。目指せ10回!と声を掛け合っているんですよ。

 

その後、市役所が、同じく中山間地域で被災した新潟県中越地震の復興から学ぶ、という主旨の講座「丹波市復興女性バネproject」を開催し、お声がけいただいて参加させてもらいました。新潟からゲストをお呼びしたり、私たちが旧山古志村を訪問して勉強したり、先行事例から学ぶ機会をいただきました。

この講座の第1回に参加した後、地域の方々に声をかけて、有志を募って地域活性化を話し合う場をつくりました。まさに「夢を語る場」です。集まった22名、みんな思い思いに様々な考えを語り合いました。

炊き出しの経験が広がり、地域活性化の語り合いにまで発展したのですね。

 

「夢を語る場」で集まった22名のうち、7名が同じ志を持つ「丹波市復興女性プロジェクト会」のメンバーとなりました。炊き出しで痛感した「食の大切さ」を胸に、食べ物を通じて地域を元気にしていきたい!と決意し、地域おこしを専門にした方に協力をお願いしました。その方と関係者の方々のお手伝いもいただき、「ぽんぽ好(ぽんぽこ)※」というグループ名やユニフォーム、月に1回のランチイベントなど、活動基盤と内容が決まっていきました。調理するのは炊き出しの時と同じ、私の家の倉庫を改造した調理場です。

最初は「復興女性プロジェクト」という名の通り復興をテーマに活動していましたが、復興にとらわれずに動いていきたいという意味を込めて、名前を変えました。また、男性陣が「こんちゃん農園」というグループを結成して、作物栽培を担っています。この農園で採れた食材を、「ぽんぽ好」が調理するという流れです。なるべく無農薬で旬の野菜やお米を色んな人に食べてもらえるように、日々挑戦しています。

 

※丹波市にそびえたつ五台山(ごだいさん)にある、「狸穴(たぬきあな)の水」伝説から「ぽんぽこ」という音を拾って命名。市島町に美味しい清水を届け地元の人々に愛されてきたこの水ですが、2014年8月豪雨災害で山が崩れた影響により、一時湧水が止まってしまいました。その水を思い出し、また、清水のように地域を元気にする存在になりたい、という想いを込めています。「好」の字には、「人が好き、ふるさとが好き、食べ物が好き」という意味もあります。

ぽんぽ好はどんなことを目指して活動していますか?

根本には「楽しく毎日を送る」という考え方がありますが、その結果、ふるさとも元気にできればいいなと思います。活動の目的は「人づくり」。いなか暮らしが好きな子を育てる、なのです。だから、近所の小学校に行って私たちの活動を紹介しつつ一緒にお弁当の内容を考えたり、大学生の訪問を受け入れて、食事づくりや野菜の収穫などを体験する場を提供したりしています。

新しいログハウスを作って活動拠点にしたいと考えています。そこでは地産の食材を加工したり、宿泊者を受け入れたり、自然教育や環境教育で自然の大切さを子ども達に伝えたり・・・。メンバーが個人で持っている土地にまで活動を広げていきたいなど、夢は膨らむばかりです。ぜひ色んな人に関わってもらって、実現していきたいと思います。

これから丹波市を訪れる人へのメッセージを下さい。

私たちは、丹波市はすごくいい場所だと思って暮らしています。でも外から

来る人たちは、それ以上に「何と素敵な場所!」と思ってくれるみたいです。

私たちが当たり前と思って気付かずにいる、いいところを、宝探しのように

見つけに来て下さい。そして、一緒に楽しみましょう。

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​今井さん宅の倉庫の一部を改修し、

キッチンスペースとして使用

ぽんぽ好のお弁当を頼むと、

​かわいい箸袋がついてくる

モルディブ、インドネシア、インドからの

​スタディツアー参加者と記念写真

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